れんげ摘み

 11年前の5月のことである
 私は蓮華を撮るつもりで和邇中浜にいた。ほどなく、大勢の志賀南幼稚園児の襲来に遭った。微笑ましい災難であった。

 孫のような、可愛い幼い子どもたちがじっとしているはずもなく、動き回る瞬間を捉えるのも難しいが〈接近して活写〉などという芸当も不可能。付き添う主任(?)の先生から「名前が分からないように!」「公開はしないでください!」と釘を刺されていた。

 11年経てば時効というものだろう。その子たちもいまは‥‥高校、2年生くらいになっている。今年は武漢肺炎の影響で大変にちがいあるまい。無心に遊んだことを思い出すいとまはないだろうが、この幼い頃の、志賀南幼稚園でいっぱい自然にふれた経験はむだにはならないと想う。

 この蓮華畑を毎年準備するのは農家の篤志家である。もう10年以上続いている。たいしたものだ。